2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06164
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 崇寛 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究料, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機FET / 有機ホウ素化合物 / ボロン酸誘導体 / バリスタ / 有機薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
近年、有機半導体材料が注目を集めている。ホウ素を含む有機半導体も研究されているが、まだ数は少ない。平面三配位したホウ素は、その垂直方向に空のp軌道を有する。三配位ホウ素を含む有機半導体の多くは、この空のp軌道の高い反応性を抑制するため、嵩高い置換基を導入している。我々は三配位ホウ素を含む平面性の高い分子を構築するため、ボロン酸誘導体に着目した。ボロン酸誘導体はSuzuki-Miyauraカップリング反応に用いられる有名な反応試薬であるが、これらの誘導体を用いて、有機電子デバイスを構築した例はこれまでになかった。まず初めに、ボロン酸を出発物質として、ボロン酸エステルを合成し、これを有機半導体として用い、バリスタ曲線と呼ばれる非線形I-V特性を示すデバイスの構築に成功した。このデバイスは、ある一定以上の電圧がかかると通電状態になり、非線形抵抗素子として働く。現在、ボロン酸エステル以外の化合物、例えば、酸素の代わりに窒素を用いた新規な含ホウ素有機半導体材料においても同様の現象を確認している。さらに他のボロン酸誘導体において良好なp型のFET特性を示す材料も見出した。また、合成中にホウ素、硫黄、窒素を含む新規なヘテロ環を有する有機半導体の合成に成功し、FETデバイスを用いて、その半導体特性を評価したところ、ambipolar特性を示した。これらの材料の光学的特性を評価したところ、可視部に広く吸収を持つため、有機薄膜太陽電池への応用が期待される。 今回の研究では、これまであまり多く用いられてこなかった平面三配位ホウ素を含む有機半導体を、ボロン酸を出発物質として用いて簡便に合成し、デバイスを構築、物性評価を行うことによって、特異な半導体物性の発現を見出した。そしてこれらの含ホウ素有機半導体化合物はさらなる発展が期待できる。
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