2010 Fiscal Year Annual Research Report
砂防堰堤建設に伴う無機的環境の変化による渓畔域樹木群落構造の変化の解明
Project/Area Number |
08J06167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒河内 寛之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子生態学 / 野生化 / 外来樹木 / 河畔林 / 樹幹解析 |
Research Abstract |
河川の安定化や河川敷利用の減少に伴い、河川敷の樹林化が進行している。その中でも、特にニセアカシアによる樹林化が顕著になっている。本研究では、安定化した河川敷においてニセアカシア河畔林がどのように分布拡大し、また伐採後に回復していくのかを植物社会学的手法、年輪生態学的手法、分子生態学的手法を用いて解明した。 その結果、ニセアカシアは流域に分布するいくつかの母系集団に由来する種子発芽個体を起点とし、広大なニセアカシア河畔林を形成していく過程が明らかとなった。本研究で初めて、ニセアカシアの分布拡大をラメットレベルで明らかにした。 また、伐採後のニセアカシア河畔林の回復過程の特徴として、伐採後数年以内にニセアカシア個体が栄養繁殖で回復を開始すること、回復は伐採後数年間続くこと、伐採後10数年もたつと成長量がほぼ横ばいになることを明らかにした。 本研究の成果を基に、ニセアカシアの管理に関して考えた。まず、防災上や保全上ニセアカシアの分布が好ましくない場所では、継続的なモニタリングと持続的な駆除の繰り返しが必要であろう。一方、本種の分布が大きな問題を生じない場所では、本種の持続的な利用による管理を提案したい。例として、本研究で研究対象とした千曲川では10数年で材積成長は鈍化し、20年以上になるとほとんど材積成長の増加が見られないことが明らかとなった。また、伐採後も川順調に回復することが確かめられた。これらのことから、千曲川河川敷のニセアカシアは、10年程度の比較的短い伐期で伐採を繰り返して、木材を利用することが可能であろうと考えられた。
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Research Products
(5 results)