2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に立脚した二次代謝酵素の発掘及び新規物質生産系の構築
Project/Area Number |
08J06168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡川 孝義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリケタイド / 希少放線菌 / 修飾酵素 / actinorhodin / II型ポリケタイド合成酵素 / 生成物解離 |
Research Abstract |
希少放線菌Actinoplanes missouriensisのテルペノイド-ポリケタイド合成クラスター(agqクラスター)の機能解析、actinorhodin生合成における生成物解離機構の解明について研究を行った。その結果、agqクラスターの生合成反応経路の解明、actinorhodin生合成の生成物の解離経路に関する新規な知見を得た。具体的には、A.missouriensisのagqA破壊株への中間体の投与実験にて、agqクラスターの最終生産物であるalkyl-O-dihydrogeranyl-methoxyhydroquinoneはAgqAによるalkylresorcinol合成、AgqBによる水酸化反応、AgqCによるメチル化反応、AgqDによるプレニル化転移反応、プレニル基の還元反応を経て生合成される経路を明らかにした。Agqクラスター中の新規ポリケタイド修飾酵素の反応を明らかにすることによって、それらの物質生産系への利用に有用な知見が得られた。また、actinorhodin生合成に関わる複数の酵素を用いたin vitro反応にて、actinorhodin合成に関わるII型ポリケタイド合成酵素(PKS)が既知のActIVの環化反応以降に生成物を酵素から解離する機構とは異なる、ActIV反応以降のActVI-1の還元反応以降に生成物を放出する新規な生合成経路を持つ可能性を示した。II型PKSは、tetracyclineなどの医薬品として有用な芳香族ポリケタイドを合成することが知られている。これらの生合成機構に関する知見を得ることによって、基礎研究のみならず、II型PKSの物質生産系への利用に関する重要な知見が得られたと考えられる。
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