2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
磯 健太郎 東北大学, 大学院・生理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然物 / 有機合成 / コルチスタチン / アルカロイド / ステロイド / 血管新生 / 抗ガン剤 |
Research Abstract |
高齢化が進む現在、ガンによる死亡率は年々増加している。現在治療に使用されている抗ガン剤の最大の問題はその深刻な副作用にあり、副作用のない抗ガン剤の創製が切に望まれている。 コルチスタチン類は2006年に発見された新規な天然物であり、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)に対して、強力かつ細胞選択的な成長阻害活性を示すことが報告されている。この活性からガン細胞にとって不可欠な血管新生を、正常な細胞に影響することなく阻害することができる、つまり副作用の少ない抗ガン剤として応用が期待されている化合物である。私は、有機合成化学的な手法でコルチスタチンの研究を進展させ、新規抗ガン剤の創製に貢献するために研究を開始した。 天然から得られるコルチスタチンの量は限られており、その入手の困難さは生物活性評価の障害となっている。天然物の量的供給は必須な課題であるため、前年度までに確立したコルチスタチンの全合成法の改善を計画した。再現性の低い反応の条件を精査し収率を改善した。これによりコルチスタチンの基本骨格となる鍵中間体を十分な量確保できた。血管新生阻害薬の創製に向けて、続く課題は構造活性相関研究である。コルチスタチンのA環の置換様式は細胞選択性に大きく寄与していることが示唆されている。そこで、A環の窒素官能基導入法、および酸素官能基導入法を検討した。その結果様々な置換様式を持つ誘導体の合成に成功し、さらに天然物の合成効率の向上を達成した。
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Research Products
(2 results)