2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後改革期における戦後開拓農民の「主体化」過程研究-京都府を事例として-
Project/Area Number |
08J06212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安岡 健一 Kyoto University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 戦後開拓 / 引揚 / 農業 / 移民 / 在日朝鮮人 / 農民運動 / 戦後改革 / 疎開 |
Research Abstract |
今年度においては、戦後巡幸という儀礼に参加した人びとについての研究を計画した。資料収集は成功し、巡幸の記録(各地で道府県が刊行しているもの)や行政の資料(国立公文書館、茨城県歴史館、国立国会図書館)を集めることができた。こうした資料収集作業の過程で新たに発見した資料によって、当初の予定を超える研究成果である「戦後日本の農村変容と海外農業移民・序説」(『寄せ場』22号)、「戦前期日本農村における朝鮮人農民と戦後の変容」(『農業史研究』44号)の執筆・掲載へと結びつけることができたのは大きな収穫であったといえる。本年度を通じて、前年度から課題としていた農村の変容と人の移動という問題についての日本の敗戦のインパクトを浮き彫りにすることができたといえる。日本現代史、とくに戦後の社会的側面については農業史の分野の研究が相対的には未だに少ない。こうした現状に対し、人の移動と社会統合という今日的な問題意識からアプローチすることで、領域を超えて新たな問題を提起できた。 また、学会報告としては、2009年9月に大韓民国・全北大学にて開催された日中韓農業史学会にて「移住労働者から小作農民へ」と題して個人報告をおこなった。本研究計画の実施において掲げた、東アジアという地域性を意識することが結果につながり、今後につながる活動であったといえる。 このほか、「農をめぐる歴史分析」(『農業と経済』75巻11号、2009年)や「グリーン・キャピタリズム」「農業」(『vol.LEXICON』2009年)など、一般書においても概説を執筆し、幅広い視野にたつ研究の遂行を心がけた。
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Research Products
(4 results)