2008 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子イオンのトラッピングと冷却〜周波数標準から量子計算機まで〜
Project/Area Number |
08J06222
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野田 有吾 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イオントラップ / 周波数標準 / イッテルビウムイオン / 非線形光学結晶 / 第二高調波発生 |
Research Abstract |
周波数標準と量子計算機への応用を目的として,単一分子イオンの捕捉とレーザ冷却を試みている.本年度は分子イオン(水素化イッテルビウムイオン)の生成に必要なイッテルビウムイオンの生成を効率良く行うための光源(波長399nm)を開発した.本光源は非線形光学結晶による第二高調波発生を利用したもので,パワー増幅のためフィネスの高い外部共振器内に結晶は収められている.結晶端面による損失を少なくするために無反射コーティングが施されるのが一般的であるが,無反射コーティングが施されている場合でさえフィネスの高い外部共振器内では,その僅かな損失によりファブリペロー共振器が結晶端面において形成されてしまうことを発見した.そしてこの僅かな残留反射による損失を,結晶を温度調整(3℃以内)することにより正に干渉させることで無くすことができることを実証し,第二高調波発生を任意の波長において最大化できることを示した.本結果は他の非線形光学結晶にも原理的に応用できるという点において重要である.また,温度調整以外の手法においても同様の結果が得られる可能性を示唆している.なお,本成果はApplied Opticsに投稿し採択された. 現在は本光源を使用してイッテルビウムイオンのイオン化効率を調べている.生成されたイオンの検出には簡易的な電気共鳴法と呼ばれる手法を用いている.本手法は蛍光を観測しないため,レーザを多数必要とし一般的に検出が難しいとされている奇数同位体の検出にも成功しており,また^<174>Ybと^<171>Yb間での電荷交換の現象も観測した.本結果は蛍光を観測する手法において以前から電荷交換が起きているのではないかと示唆されてきたものを証明したものである.単一の同位体による分子イオンを生成するためにはこれらの基礎研究は重要であると考えている.
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Research Products
(2 results)