2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規光応答性多孔性配位高分子を利用した分子コンテナの構築
Project/Area Number |
08J06223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 美欧 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(PD)
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Keywords | 錯体化学 / 表面化学 / 多孔性配立高分子 / 表面X線構造解析 / 蛍光分子 |
Research Abstract |
金属イオンと有機架橋配位子の自己集合により構築される多孔性錯体フレームワーク(PCPs)は、その高い構造柔軟性を利用することで、分子の選択的な貯蔵・分離といった新奇な物性発現が可能となる。PCPsにおいては、ゲスト分子の脱吸着に伴うホスト骨格の構造変化解析が、非常に重要である。特に、細孔中に取り込まれる初期過程が非常に重要な役割を果たすため、結晶表面におけるホスト骨格の構造転移過程の解析は、本物質群の吸着現象を理解する上で不可欠である。そこで、本研究では、PCPs単結晶表面のみがゲスト交換された表面改質結晶を作成し、その結晶転移過程の解析を行った。本実験では、Znイオン、1,4-ナフタレンジカルボン酸、トリエチレンジアミンからなるPCPsを用いた。この錯体結晶に蛍光性有機分子をゲスト分子として導入した場合、ゲストが細孔サイズとほぼ同一であるためにゲストの拡散速度が低下し、ゲスト拡散が起きた表面相とゲストが存在しないバルク相とが共存した表面修飾結晶が作成できた。単結晶X線回折測定ならびに偏光蛍光観察の結果から、ゲスト分子はバルク相の(001)方向にのみ拡散し、励起光の偏光方向に応じてゲスト分子の蛍光強度が大きく異なることが判明した。これらの結果はゲストが細孔内で一方向に配列していることを意味し、ホストーゲスト間の強い相互作用を示唆している。上述のサンプルを用い、SPring-8 BL13XUにおいて表面X線回折測定を行った。その結果、バルク相においてはゲスト拡散に伴う結晶構造変化が観測されなかったが、表面相においてはゲスト拡散に伴いフレームワークの結晶格子に歪みを生じていた。さらに、表面相には4種類の結晶ドメインが存在し、更にそれぞれのドメインの成長方向はバルク相の構造と相関があることが判明した。以上の結果から、表面相における結晶転移にともなう結晶格子の歪み方向はバルク相との接合によって決定されることが示唆された。
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Research Products
(4 results)