2008 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性細繊維を媒体とした環境中微量有機化合物に対する新規抽出法の開発
Project/Area Number |
08J06258
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小川 満弘 Toyohashi University of Technology, 工学部, 特別研究員DC2
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Keywords | 試料前処理 / 繊維充填ニードル / 環境分析 / 環境ホルモン / 環境汚染物質 / ビスフェノールA |
Research Abstract |
当初の計画通り、本年度は、環境中に含まれる有機化合物の測定用試料前処理デバイスの開発とそれを用いた試料前処理法についての研究を行った。抽出媒体である繊維の種類や充填本数、更に被覆する液相の種類と濃度の最適化により作製された繊維充填ニードルは期待以上の優れた耐久性、耐熱性を有し、市販のシリンジを用いることにより操作は大幅に簡略化され、処理に必要な時間は10分まで短縮された。最適化された抽出条件において繊維充填ニードルはフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチルヘキシル等の可塑剤や発癌性物質を含む多環芳香族炭化水素などに対し、80%以上の高い抽出効率を示し、数ppmから数ppbレベルの化合物においても良好な直線性が得られた。本デバイスは測定間における再現性も優れており、5%以下のRSD値が得られた。また、高温熱脱着を用いることにより吸着力の強い化合物に対してもキャリーオーバーなしで繰り返し測定が可能であった。本デバイスを用いることでプラスチック製品中の可塑剤の抽出や河川水中に含まれた環境汚染物質の迅速な抽出・分析が達成された。 また、水中に含まれているフェノール類等の抽出・分析するために誘導体化反応を組み込んだ試料前処理工程の改善も行なった。本研究において、最も重要な問題であった水による誘導体化反応の阻害は抽出操作後、ニードル内に残った水分を除くための窒素フロー、真空吸引、加熱の3段階に渡る排水処理を組み込むことにより解決された。本方法は従来の試料前処理法に比べて低コストで高い抽出効率が得られ、土壌中に含まれるビスフェノールAの分析が達成できた。
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Research Products
(3 results)