2008 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogenobacter thermophilus TK-6株の窒素同化
Project/Area Number |
08J06284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀谷 将史 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒素同化 / アミノ酸 / アンモニア / 硝酸 / 好熱菌 |
Research Abstract |
好熱性水素細菌Hydrogenobacter thermophilusはバクテリアの中で最も古くに分岐した菌だと推定され、生命の起源に近い性質をその代謝系に残していると考えられている。実際に本菌は水素をエネルギー源、二酸化炭素を炭素源とする特徴的な代謝機構を有しており、これまでに多くの新規な生化学的知見が得られてきた。特に炭素代謝においては、還元的TCA回路という特徴的な経路によって炭酸固定を行うことが示され、本経路に関する研究を世界的に牽引してきた。 窒素は生体の主要構成成分であり、その同化代謝は生命にとって普遍的に重要な代謝と言える。本菌で炭素同化代謝やエネルギー代謝は研究されてきた一方で、窒素同化代謝についての研究はなされてこなかった。そこで本研究では、全生命の基本的代謝である窒素同化に関して新たな知見を得ることを目指し、本菌における代謝機構の解明を目的とした。本年度の研究により、以下のような成果が得られた。1.生体における主要な窒素化合物であるアミノ酸の生合成では、アミノ基転移酵素と呼ばれる酵素が重要な働きをすることが知られている。本菌から3種類のアミノ基転移酵素の精製に成功し、その性状を明らかにした。既知酵素と異なる基質特異性を有することが示され、本酵素の分類・機能予測の改善に寄与する知見が得られたと言える。 2.硝酸は多くの微生物で窒素源として同化されることが知られている。本菌における硝酸同化酵素群の解析を行い、その同化経路を推定した。本菌は非光合成細菌であるにも関わらず、光合成生物と共通した性質を窒素同化代謝に有していることが現在までに示唆されており、興味深い知見と言える。
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Research Products
(2 results)