2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能的磁気共鳴画像法を用いた親近性識別課題遂行時の長期記憶関連大脳領域の検出
Project/Area Number |
08J06285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 聡 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒト / 大脳 / 長期記憶 / 機能的磁気共鳴画像法 / 心理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトの長期記憶の想起に関わる大脳領域を検出し、さらに前頭前野において記憶表象へのアクセスをコントロールする機能が、前頭前野における他の機能とどのように関連しているのかを調べることである。 親近性識別課題を改変し、記憶表象へのアクセスの度合が記憶対象ごとに異なるようにした。被験者が課題を行っている時の脳の活動を機能的磁気共鳴画像法で測定し、記憶表象へのアクセスの度合が大きい記憶対象を想起している時と、記憶表象へのアクセスの度合が小さい記憶対象を想起している時の脳の活動を比較することで、長期記憶の想起に関与する大脳領域を検出した。 また、前頭前野は、長期記憶の想起の他に、フィードバック機能や反応抑制などの機能を有していることが知られている。前頭前野において、長期記憶の想起に関与する機能が他の機能とどのように関連しているのかを調べるために、被験者がウィスコンシンカード分類課題と眼球運動課題を行っている時の脳の活動を機能的磁気共鳴画像法で測定した。 これらの実験により得られた各機能に関連する大脳領域の位置関係を調べるために、解析ソフトCARETを用いた解析を行った。撮像した各被験者の脳の構造画像を用いて、脳溝にそって大脳皮質の表面を展開した二次元の脳地図を作製した。各機能に関連する大脳領域が、上述の方法で展開された二次元の脳地図においてどの位置にくるのかを算出し、その位置と脳溝や脳回との位置関係を調べた。 以上の実験・解析の結果、これまで明らかにされていなかった、前頭前野におけるフィードバック機能に関連した領域と反応抑制に関連した領域との位置関係が、その周辺の解剖学的な構造との位置関係も含めて明らかになった。今後もさらに実験、解析を行い、これら2つの前頭前野内の領域と、記憶表象へのアクセスをコントロールしている領域との関係を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(7 results)