2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞および発生過程における反復配列様遺伝子ECAT11の機能解析
Project/Area Number |
08J06316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩渕 久美子 京都大学, ips細胞研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | iPS細胞 / 初期化 / ECAT11 / L1td1 |
Research Abstract |
当研究室では、人工多能性幹(iPS)細胞の再生医療・各種細胞生物子研究の資源としての応用基盤を築くべく、体細胞からの初期化過程・iPS細胞の分化能や安全性などの質評価に関わる研究を行っている。iPS細胞株はそれぞれ分化能に違いがあり、iPS細胞由来キメラマウスにしばしば異常がみられ、ES細胞と比較して分化能と安全性に問題がある。また、樹立効率が4%以下と低く、応用の障害となる。これらを解決するためには初期化の中枢経路を知ることが必須である。報告者は平成21年度よりECAT11ノックインマーカーを応用したiPS細胞樹立過程の詳細解析を行っている。 平成22年度の解析結果を発展させ、初期化誘導過程にある細胞集団をECAT11-EGFPおよび幹細胞表面抗原マーカーSSEA-1との二次元FACS解析で初期化段階別に4つのサブ集団に分類し、それぞれの集団の発現をシングルセルマルチプレックスPCRで解析し、段階別に特徴的なES細胞関連因子群の発現開始時期を特定した。また、この解析の中で新規にDppa4が初期化マーカーとして有用であることを発見した。このマーカーは従来のOct4・Nanogとは異なり多能性幹細胞の中でホモジナスに発現する因子であり、特にシングルセルマルチプレックスPCRによる系で初期化完遂までの細胞の発現変動を追う上で最適なマーカーと言える。さらに、シングルセルマルチプレックスPCRによって得られる細胞株における単一細胞ごとの発現分散度の安定化が従来の初期化完了と捉えられていた時期とは異なる時期に起こり、また長期培養によってこの安定が失われることも見出した。 本研究成果はiPS細胞の質を評価する上で極めて重要な知見であり、今後この解析系を用いて、新たに樹立したiPS細胞株の安定性をはかる評価基準を作ることが可能である。
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Research Products
(3 results)