2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合化計算化学手法を用いた環境対応型エンジンオイル添加剤の分子設計
Project/Area Number |
08J06348
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 拓 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トライボロジー / エンジンオイル添加剤 / 計算化学手法 / 分子動力学法 / 有限要素法 / 量子化学 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
本研究は,環境対応型エンジン油添加剤の開発のための理論設計手法を確立することをはじめの目的としている.本年度は,添加剤の理論設計を行うための統合化トライボロジーシミュレーション技術の構築を行った.具体的には,現行のMoDTC,ZnDTP添加剤を対象として, 1.分子状の添加剤から摩擦・摩耗を低減し得る薄膜に至るまでのトライボ化学過程の解明 (1)量子論を用いて,摩擦中の金属表面における添加剤分子分解反応,電子状態ダイナミクスを解明し,分解生成物を予想した.摩擦だけでなく金属面の触媒作用が分解反応に重要であることを明らかにした. (2)量子論をベースとして,各種大規模分子シミュレーションで必要となるポテンシャルパラメータを構築した.また,(1)で得られた分解生成物を基に薄膜構造を構築した. (3)実験では直接的に調べることが困難な薄膜の潤滑メカニズムおよび摩擦中の電子状態・構造変化をはじめて明らかにし,これら原子スケールでの変化が潤滑性能を直接的に支配することを見出した. 2.薄膜のトライボロジー特性の理論評価手法の開発 (1)マクロスケールシミュレーションのための薄膜の局所(メソ)構造,原子・分子スケール物性のボトムアップアルゴリズムを開発した.また,分子動力学法/有限要素法連結シミュレーション手法を開発した. (2)これら開発手法を用いて,トライボ材料の物性として重要な薄膜の硬さ,接着性等を評価し,薄膜中に形成された原子スケールでの傾斜組成がこれら物性を制御していることをはじめて見出した. また,共同研究先のEcole Centrale de Lyon校の実験事実を参照し,シミュレーション結果とよく整合することが確認された.これら全ての研究・開発内容は国内外の学会において発表した.
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Research Products
(7 results)