2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛アート錯体触媒を用いる第3級アルコールの効率的合成プロセスの開発
Project/Area Number |
08J06383
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 伸治 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 第3級アルコール / ケトン / グリニャール試薬 / 亜鉛 / アート錯体 / トリメチルシリルメチル基 |
Research Abstract |
研究代表者は、塩化亜鉛を用いたグリニャール試薬をアルキル源とする触媒的アルキル付加反応を研究している。本研究目的は、亜鉛アート錯体の求核性を最大限に引き出し、より困難を伴う基質、及び反応剤を用いた触媒的アルキル付加反応を行うことである。これまでに研究代表者は、安価な塩化亜鉛を触媒としたグリニャール試薬を用いるケトンのアルキル付加反応の開発に成功している。しかし、本開発は適用できるグリニャール試薬が塩化物(RMgCl)に限られ、調製が容易な臭化物(RMgBr)やヨウ化物(RMgI)を用いることができないという問題があった。従って、塩化亜鉛をから調製される亜鉛(II)アート錯体を触媒とし、種類を問わないRMgX(X=Cl、Br、I)の求核性を最大限に高めたアルキル化反応の開発は本研究の取り組むべき最重要課題である。 検討の結果、亜鉛上にトリメチルシリルメチル(TMSCH_2)基を導入した亜鉛アート錯体が優れた活性を示した。高活性亜鉛アート錯体は10mol%の塩化亜鉛と20mol%のTMSCH_2MgCl及びRMgX(X=Cl、Br、I)を混合することで調製される。この触媒的アルキル化法を用いた場合、反応性が劇的に向上し、0℃という温和な条件下で副生成物をゼロから最少限に抑えることに成功した。さらに、塩化リチウムを添加することで収率を大幅に改善することに成功した。特に臭化物(RMgBr)やヨウ化物(RMgI)を用いた場合には顕著な改善が見られた。 以上のように研究代表者は、従来困難とされていたグリニャール反応剤をアルキル源とするケトンに対するアルキル化反応の高効率的な触媒化に成功した。種類を問わないRMgX(X=Cl、Br、I)で副生成物を最少限に抑え、自由自在にアルキル付加反応を可能にする本技術は高効率第3級アルコール合成における大きなブレイクスルーである
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Research Products
(4 results)