2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルゼンチンアリのスーパーコロニーと分布拡大/在来アリ駆逐メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
08J06386
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
砂村 栄力 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 外来種 / 外来アリ / アルゼンチンアリ / 防除 / 分布 / 社会構造 / スーパーコロニー / 競争 |
Research Abstract |
大きな研究目的を1)侵略的外来種アルゼンチンアリの分布拡大メカニズム解明、2)アルゼンチンアリによる在来アリ類駆逐メカニズムの解明(すなわちアルゼンチンアリが侵略的となる要因の解明)として研究を行ってきた。 1)については、アルゼンチンアリがスーパーコロニーという巨大なコロニー(相互になわばり争いをしない無数の巣の集合体)を形成し、帰属するスーパーコロニーを調査することで、侵入起源・分布拡大プロセスを推定する上で重要な情報が得られる。そこで、ヨーロッパおよび北米のアルゼンチンアリ生体を日本へ輸入し、日本のアルゼンチンアリとなわばり争いをするか行動試験を行ったところ、3地域でそれぞれ最大のスーパーコロニー同士は互いを認識した上でなわばり争いをしないことが判明し、人間社会についで大規模な協力集団の発見となった。本成果は国際誌に受理された。 2)については、アルゼンチンアリと在来アリの分布境界において合成道しるベフェロモン(アルゼンチンアリの行列形成を妨害する効果をもつ)を処理し、アルゼンチンアリの競争力を特異的に低下させるという防除ストラテジーの検討を行った。予備的な調査として、アルゼンチンアリの自然巣と在来アリの人工巣の間にエサを設置し、合成道しるベフェロモンの処理が採資源をめぐる競争に与える影響を調べた。その結果、合成道しるベフェロモンを処理した場合、無処理に比べエサに到達する在来アリ数が多く、上記防除ストラテジーはさらなる追究の価値ありと判断された。
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