2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳の形成と高次機能調節における巨大分泌蛋白質リーリンの新規情報伝達機構
Project/Area Number |
08J06390
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中野 良美 Nagoya City University, 薬学研究科大学院, 特別研究員DC2
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Keywords | リーリン / ノックインマウス / Dab1 |
Research Abstract |
1.リーリンのC末端領域(CTR)のみを欠損するノックインマウスの作製と表現型の解析 CTRをFLAGタグで置換したノックインマウスを作製した。マウスリーリンのゲノム遺伝子には69個のエキソンがあり、CTRはそのうち最後のエキソン(エキソン69)にコードされている。ゲノム遺伝子のエキソン69からCTRをコードする配列を除き、FLAGタグをコードする配列に置換したΔC-FLAGノックインマウス(d__-elta C__--F__-LAG k__-nock-i__-n mouse、以後DCF-KIマウスと略す)を樹立した。 まず、DCF-KIマウスのΔC-FLAGリーリンは、細胞内に蓄積する傾向があるものの、分泌量自体には大きな異常はないことを確認した。 次に、DCF-KIマウスのDab1はチロシンリン酸化誘導能を野生型と比較した。Dab1はチロシンリン酸化を受けると分解されることが知られている。実際、リーラー・マウス胎仔の脳内のDab1量は、正常マウス胎仔より約10倍多い。このように、Dab1量はDab1チロシンリン酸化誘導能を反映する。そこで、DCF-KIマウスと正常マウスのDab1量を比較した結果、DC-KIマウスでは正常マウスよりDab1量が多かった。従ってin vivoにおいてもCTRは、Dab1チロシシウシ酸化に関与することが強く示唆された。現在DCF-KIマウスとDab1欠損マウスとの二重変異マウスを作製中である。DCF-KIマウスの脳組織をニッスル染色した結果、正常マウスの神経細胞は、大脳皮質辺縁体(MZ)にほとんど見られないのに対し、DCF-KIマウスでは、神経細胞がMZに多数侵入していた。さらにDCF-KIマウスでは第II/III層の構造に乱れが見られた。 2.リーリンの細胞内情報伝達経路活性化のメカニズムの解明 リーリンCTRと結合する分子の候補としてグリコサミノグリカン鎖(GAG鎖)を想定し、そのGAG鎖の同定を試みている。 3.成体のCTR置換ノックインマウスにおける高次機能及び行動解析 成体のDCF-KIマウスの海馬の構造は正常であることが判った。
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Research Products
(3 results)