2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイオスタチンの新規筋細胞内シグナル伝達因子の同定とその特異的作用の解明
Project/Area Number |
08J06407
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三宅 雅人 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マイオスタチン / TGF-β / シグナル伝達 / TIEG1 / アポトーシス / 筋芽細胞 / 骨格筋 / Smad |
Research Abstract |
マイオスタチン(MSTN)は筋分化を抑制するサイトカインである。本研究ではMSTNの新規筋細胞内シグナル伝達因子としてTIEG1に着目し、その作用を解明することを目的とする。 本年度は昨年度に引き続き研究計画に従い遂行し、以下の新知見が得られた。 1.筋芽細胞株C2C12細胞の分化期にMSTNを刺激したところ、TIEG1 mRNAの発現は刺激後72時間で有意に上昇した。C2C12細胞においてMSTNは、Smad2/3の転写活性を上昇させるが、TIEG1を過剰発現させたところ、MSTNによるSmad2/3の転写活性の上昇は抑制された。さらにTIEG1過剰発現は分化を抑制したが、MSTNの刺激に対して更なる分化抑制は観察されなかった。以上のことからTIEG1がMSTNの細胞内シグナル伝達の負のフィードバック因子として働いていることが示唆された。 2.前年度においてC2C12細胞にRNAi法を用いてTIEG1発現をノックダウンしたところ筋管が増加し、筋細胞分化が促進したことを見いだした。また、筋芽細胞の分化に伴うアポトーシスが抑制されることが判明した。さらに詳細を解析したところ、分化刺激によって起こる細胞増殖の停止がTIEG1発現のノックダウンによって抑制されていることが判明した。マイクロアレイ解析とreal-time PCR解析の結果、細胞周期の制御因子の発現が対照区と比較してTIEG1ノックダウン区で上昇していた。以上のことから、TIEG1は、MSTNの細胞内シグナル制御に加え、分化初期に起こるアポトーシスと細胞増殖の停止を調節することによって筋分化を負に制御していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)