2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小沼 剛 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミロイド線維 / NMR |
Research Abstract |
アミロイド線維は蛋白質が会合して形成する超分子複合体である。このアミロイド線維は様々なアミロイド病に関与している。しかしながらアミロイド線維の構造、形成機構そして毒性など未だ情報が少ない。アミロイド線維の研究はアミロイド病の予防・治療法の確立のために重要である。 本研究では、透析アミロイドーシスの原因蛋白質であるβ2ミクログロブリン(β2m)アミロイド線維形成に着目した。そしてβ2mのアミロイド線維形成についてアミノ酸残基レベルで解明、具体的には線維末端に結合したβ2mの中間体構造の情報を得ることを目的とした。そこで本研究では、原子レベルの情報が得られるNMRを用いる。しかし、アミロイド線維は高分子量の超分子複合体であるため、NMRで直接観測することは困難である。そこでアミロイド線維をジメチルスルホキシドに溶解し、モノマーに解離することでNMR測定が可能となる。ここでアミロイド線維形成途中に水素/重水素(H/D)交換反応を行い、HSQCスペクトルを測定した。そして、得られたスペクトルのピーク強度から、残基ごとのH/D交換度合いを調べ、比較した。その結果、アミロイド線維形成の初期段階で完全に変性した中間体を形成することが明らかとなった。以上の結果からβ2mのアミロイド線維形成モデルを提案した。 これはアミロイド線維形成中間体についての情報を初めての与えた結果である。また本研究の実験手法は、アミロイド線維を形成する他の蛋白質の研究にも応用されることが期待できる。
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Research Products
(2 results)