2008 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起カー回転測定による量子ホール状態の電子スピン・核スピンダイナミクスの研究
Project/Area Number |
08J06429
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福岡 大輔 Chiba University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子ホール電子系 / 量子ホール強磁性状態 / 時間分解光誘起カー回転測定 / Skyrmion状態 / スピン緩和時間 / スピン分極率 |
Research Abstract |
20年度に実施した研究における重要な成果は、1、量子ホール電子系のスピン分極率高感度計測、2、量子ホール強磁性状態におけるスピンダイナミクスの詳細な解明である。 1については、カー回転測定による半導体のスピン計測において、従来行われている時間分解力-回転測定(TRKR)による光生成スピンのダイナミクス計測とは別に、新たに、光弾性変調光学素子や液晶リターダを用いて位相変調によるスピン分極率の高感度計測系を開発した。これにより、今まで得ることが困難であった量子ホール電子系の静的なスピン分極率の超高感度計測が可能になり、研究目的であるランダウ占有数1近傍における"Skyrmion"状態の二次元電子の電子濃度や温度依存性を明らかにした。また高次奇数占有数におけるSkyrmion状態の形成を示唆する結果も得られた。 2については、従来のTRKR法を発展させ、ポンプ光とプローブ光のそれぞれにスペクトラフィルターを導入し両光の中心波長と波長幅を独立に選択することが可能な2色ポンプ・プローブ系を構築し、光生成スピンのダイナミクスを詳細に研究した。これにより量子ホール強磁性状態近傍における光励起によるスカーミオン・アンチスカーミオン対の生成過程を解明し、さらにスカーミオン光生成抑制下における量子ホール強磁性状態固有の電子スピンダイナミクスの占有数依存性を初めて明らかにし、研究目的である強磁性スピン状態におけるGoldstone modeの緩和メカニズムが二次元電子系の乱雑ポテンシャルによるものであることを示した。 これらの成果はブラジルで開催された半導体国際会議、強磁場国際会議、さらには、日本物理学会シンポジウムで発表した。
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Research Products
(9 results)