2009 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌における真核生物型リン酸化を介したグローバルな二次代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
08J06478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 晶子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放線菌 / 真核生物型リン酸化 / 二次代謝制御 / マルチドメイン |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces coelicolor A3(2)におけるAfsK/AfsR/AfsS制御系の機構全貌の解明を最終目標とし、その中心的役割を果たすマルチドメインタンパク質AfsRの機能解明を本研究の目的とする。S.coelicolor A3(2)の二次代謝をグローバルに制御する転写因子AfsRは真核生物型Ser/ThrキナーゼAfsKによってリン酸化されることでその活性が上昇することから、AfsRの機能に重要なリン酸化部位を決定し、恒常的活性化状態となる変異型AfsRの解析を行うことで、リン酸化とAfsRの機能との関わりを明らかにすることを目指した。本年度に実施した研究により、以下の成果が得られた。 前年度におけるin vivoの解析によりリン酸化部位と考えられたThr残基にGluあるいはAsp変異を導入し、恒常的活性化状態であると考えられる変異型AfsRについて、リン酸化を受けていない野生型AfsRと比べてどのような機能の違いがあるか調べた。297番Thrや536番Thrに変異をもつAfsRに対しATPase活性の測定を行ったところ、これらの変異はATPase活性には大きな影響を与えないことが示された。また、これらの変異はDNA結合にも影響がなかった。一方、ゲルろ過クロマトグラフィーによりAfsRタンパク質の溶液中における状態を調べた。野生型AfsRは殆どが単量体で存在し、二量体が僅かに存在しているのに対して、297番目あるいは536番目のThr残基を酸性アミノ酸残基に置換した変異型AfsRでは、全体の1~3割が溶液中で二量体になることが示された。この結果は、これらの部位のリン酸化によってAfsRは二量体化しやすくなることを示唆しており、これがAfsR活性化の原因である可能性が考えられた。
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