2008 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌における真核生物型リン酸化を介したグローバルな二次代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
08J06478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 晶子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放線菌 / 真核生物型リン酸化 / 二次代謝制御 / マルチドメイン |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces coelicolor A3(2)におけるAfsK/AfsR/AfsS制御系の機構全貌の解明を最終目標とし、その中心的役割を果たすマルチドメインタンパク質AfsRの機能解明を本研究の目的とする。S.coelicolor A3(2)の二次代謝をグローバルに制御する転写因子AfsRは複数の機能ドメインを有しており、また、真核生物型Ser/ThrキナーゼAfsKによってリン酸化されることでその活性が上昇することから、真核生物における転写制御機構のプロトタイプとして、その機構解明は重要な意味を持つ。本年度に実施した研究により、以下の成果が得られた。 1.AfsRのマルチドメイン機能の解明 AfsRのATPase活性に重要であるとされるアミノ酸残基に変異を導入した変異型afsR(afsRΔATPase)を構築し、プロモーター領域のDNA配列と共にafsR破壊株に導入した。その結果、野生型afsRを導入した場台と比較して色素生産誘導能の低下が観察された。さらに、上記の変異型タンパク質およびAfsRのTPRドメインと相互作用するタンパク質Rbtの発現・精製を行った。これらを用い、in vitroにおけるAfsRの機能解析を行う予定である。 2.AfsRの機能に重要なリン酸化部位の決定 他の3種のStreptomyces属に存在するAfsRホモログとの間に高く保存されたThr残基をリン酸化部位の候補とし、Ala変異を導入した変異型afsRを18種取得した。各変異型および野生型afsRをafsR破壊株に導入し、色素生産誘導能が衰えた変異型afsRを6種取得した。これらの部位のThr残基にAsp,Glu置換を行い、色素生産誘導能が回復するものを選別した。その結果、3箇所のThr残基を有力なリン酸化部位の候補とし、さらなる解析を進めることとなった。
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