2009 Fiscal Year Annual Research Report
実形状肺内気流の計算力学解析に基づくCOPDの新しい診断・治療支援システムの構築
Project/Area Number |
08J06479
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
三木 貴仁 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 呼吸解析 / 数値流体力学 / 実形状モデル |
Research Abstract |
現在の医用画像を用いた診断は、病巣の形態を解析する方法が一般的であるが,より正確かつ定量的に診断を行うためには,病巣の力学的な特徴を詳細に解析する必要がある.このことを研究目的とし,特に肺内気流を対象とした高精度かつ高速に解析できる数値流体解析ソルバの開発を行っており,本年度は大きくわけて以下の2つの成果を得た. 1.半年間のイギリス留学 現在所属している研究室では,主に血流に関する研究を行っており気流解析に関するノウハウは少なく,より肺内気流に関する知識を深めるため,呼吸解析の権威である英国Imperial CollegeのSchroter教授およびDoorly教授のもとで半年間の研究を行った.現地では主に鼻腔内気流の解析に携わり,前年度までに開発してきた流体解析ソルバの有効性を検証した.また,海外の研究機関での活動は,世界的な人脈を形成するとともに,今後世界を相手にした研究を行うためのグローバルな視野を身につけることのできる経験となった. 2.カットセル法の開発 本研究では,臨床応用を目指して誰でも容易に使える数値流体解析ソルバの開発も目的としている.そのため,肺内気流を解析するための計算格子には,格子生成を容易に行える直交格子を利用してきたが,直交格子は流路の壁面形状を正確に表現できない欠点がある.そこで,この欠点を克服するため,直交格子でも適切に壁面形状を表現できるCut-cell法の導入を行った.特に,現在計算手法とて利用しているIDO法は微係数も変数として扱う特微があり,この特徴を活かしたCut-cell法を開発した.検証実験として円柱周りの流れを解析し,Cut-cell法を導入することにより過去の研究で得られた同条件での解析結果(円柱の揚力係数・抗力係数)と良い一致が得られるようになった.このことから,新たに開発したCut-cell法の有効性を示すことができ,今後の呼吸解析を行う上で,より信頼性の高い結果を得られることを示した.
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Research Products
(3 results)