2010 Fiscal Year Annual Research Report
実形状肺内気流の計算力学解析に基づくCOPDの新しい診断・治療支援システムの構築
Project/Area Number |
08J06479
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 貴仁 東北大学, 大学院・医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 肺内気流解析 / 数値流体力学 / 実形状モデル / GPGPU / 格子ボルツマン法 |
Research Abstract |
呼吸器疾患は流体力学との関連が非常に高く,数値流体解析をその診断・治療支援のために臨床現場で導入することができれば,より定量的な医療の実現が可能になると考えられる.数値解析を臨床応用する上で,解析結果を迅速に取得できる必要があるが,スーパーコンピュータを用いた高速並列計算は,コスト・設置面積の観点から不適切である.そこで,小型で安価ながら高い演算性能を持つGPU計算による高速肺内気流計算手法を提案する.数値解析手法には格子ボルツマン法(LBM)を用いる.LBMの最大の特長は全計算を陽的に行える点であり,GPU計算との相性が良い.さらに,従来の半陰解法による数値計算手法で肺気道のような複雑な管路内流れを計算する場合,圧力分布を解くためのポアソン方程式の収束性が問題となるが,LBMでその心配はない.GPU計算において性能はメモリアクセス方法によって大きく左右され,従来,複雑形状の計算ではGPUの充分な性能を発揮することができなかった.そこで,新しく複雑形状のGPU計算に適した計算格子の提案を行い,肺内気流の高速解析を実現した.例えば,最大13世代気道まである実形状3次元肺気道モデルの吸気1秒間の流れは,コスト・設置面積の点から臨床現場でも導入可能な合計8台の計算機で構成されるGPUクラスタを用いて1時間前後で解析することができた.本解析手法は,移流拡散解析,ラグランジュ的粒子追跡などの解析手法と組み合わせることにより,様々な呼吸現象の解析が可能である.そこで,開発した解析手法をCOPDの治療等に用いられる吸入型薬剤の効果的な利用法の解明のために利用し,結果,気道壁に吸着した薬剤量と薬剤粒子径・吸入流速・吸入時姿勢との詳細な関係を明らかにするに至った.
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Research Products
(3 results)