2008 Fiscal Year Annual Research Report
オーロラキナーゼBによる、ヒトシュゴシンSgo2の局在制御機構の解析
Project/Area Number |
08J06497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹野 悠司 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シュゴシン / オーロラB / コヒーシン / 染色体分配 / 分裂期 |
Research Abstract |
本研究は、Sgo2のセントロメア局在化制御機構の解明を課題としている。先行研究において、分裂期キナーゼの一つであるAurora Bの活性が、Sgo2のセントロメアへの局在化に必要であることが示されていた。そこで、Aurora BがSgo2を直接的にリン酸化することで、セントロメアへと局在化させる可能性について検討を行った。実験手法として、まず、大腸菌においてSgo2をN末端、中央、C末端の3つの領域へと断片化して大腸菌に発現させて精製し、Aurora Bによるリン酸化アッセイをin vitroにおいて行った。その結果、全長Sgo2において23個のセリンもしくはスレオニンがin vitroにおいてAurora Bによってリン酸化されることが明らかとなった。この23個のセリン、スレオニン残基をアラニンに置換した全長Sgo2-23A変異体において、リン酸化シグナルが十分に減弱することを確認し、EGFPタグを付けてHeLaヒト培養細胞へと発現させた。この時、内在性のSgo2はRNAiを用いて発現を抑制した。野生型、23A変異型ともに同様のセントロメア局在を示したことから、Aurora BがSgo2をセントロメアへと局在化させる機構は、直接的なリン酸化によるものではないことが示唆された。次に、Aurora BによるSgo2の間接的な局在制御機構について検討した。まず、HeLa細胞をAurora B阻害剤によって処理した結果、分裂期細胞におけるヒストンT3のリン酸化レベルの減少が見られた。このことから、Aurora Bが阻害されている状況化において、ヒストンT3キナーゼHaspinの活性が減少することが示唆された。次に、Aurora BがHaspinの活性化を介してSgo2のセントロメア局在を制御している可能性を検討した。HeLa細胞にHaspin RNAiを行い、H3T3のリン酸化レベルが減少している細胞におけるSgo2のセントロメア局在を調べた結果、セントロメアへの集積に異常が見られたことから、HaspinはSgo2のセントロメア局在に必要であることが明らかとなった。HaspinがSgo2のセントロメア局在を制御するメカニズムについては未解明であるが、我々はHaspinがSgo2をin vitroにおいてリン酸化することを見出だしている。今後は、リン酸化部位を同定後、アラニン置換変異体を作製し、細胞内に発現させて局在観察を行うことで、Haspinによる直接のリン酸化によってSgo2がセントロメアへと局在化する可能性について検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)