2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネの湛水条件下における養水分吸収の分子機構の解明
Project/Area Number |
08J06503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 宏和 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 耐湿性 / 養水分吸収 |
Research Abstract |
土壌が極度な低酸素状態に陥ると、土壌の還元化が進み、植物の生育に必要な必須栄養素の存在形態が変化することが知られている。そのため植物が低酸素状態で正常に生育するためには、養分形態の変化に応じた吸収機構が必要であると考えられる。日本で栽培が盛んなイネは、幼苗期に苗箱という好気的な条件で育成され、その後土壌が低酸素かつ還元化された水田へと移植される。それにも関わらず、イネは目立った障害も示さずに生育する。このことから、イネは根において好気と嫌気環境の双方に応じた養分吸収を行っていることが推測される。本研究ではイネの低酸素環境で変化する養水分吸収機構の解明を目的とした。 養水分吸収に関わる遺伝子は過去に数多く報告されてきているものの、それらが低酸素に応答するかどうかは明らかにされていない。そこでまず、低酸で誘導される養水分吸収関連遺伝子の一次スクリーニングを目的として、好気条件下で栽培したイネと地下部に低酸素処理を施したイネの根端を用いた44kイネオリゴDNAマイクロアレイを行った。得られた結果に対して統計処理を施したところ、低酸素条件で転写産物量が減少したものが1185遺伝子、低酸素で転写産物量が増加したものが1350遺伝子存在した(p-value<0.01)。 今年度は、マイクロアレイによって得られた遺伝子をさらに選抜するために、低酸素における経時的な遺伝子発現解析と共に、Laser Microdissection法を用いて根における組織特異的な発現解析を中心に行った。また、この発現解析の結果選抜された遺伝子についてTos17やT-DNA挿入系統の収集に着手してきた。次年度は、これらの遺伝子破壊系統の低酸素条件下における表現型を確認し、機能解析を行うことで養水分吸収機構の変化のメカニズムを明らかにしていく予定である。
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Research Products
(3 results)