2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06521
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 美保 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / FtsHプロテアーゼ / 光ストレス / 熱ストレス / 品質管理 / D1タンパク質 / サブユニット構造 |
Research Abstract |
1チラコイド膜におけるFtsHプロテアーゼの分布について チラコイド膜を5種類の画分(チラコイド,グラナ,ストロマチラコイド,PSII膜,PSIIコア膜)に分離し,それぞれの膜画分におけるFtsHの存在量を比較すると,FtsHはPSII膜に最も多く検出された。PSII膜に化学架橋剤を用いて行ったFtsHの存在状態の解析により,FtsHプロテアーゼはPSIIのアンテナクロロフィル複合体(LHCII)の近くに存在することが示唆された。これらの結果から,FtsHプロテアーゼはこれまで損傷D1の分解場所であると考えられてきたストロマチラコイドよりも,もともとPSII複合体が多く存在するグラナ,グラナエンドメンブレン及びグラナマージンに存在していることが示唆された。 2FtsHプロテアーゼのサブユニット構造について Clear-native PAGEを用いてチラコイド膜におけるFtsHオリゴマーの存在状態を調べると,PSII膜には,六量体FtsHのみが存在していた。このことから,PSIIが多く存在するグラナチラコイド上で損傷D1タンパク質の分解が行われる可能性が新たに示唆された。六量体FtsHは,タイプA(FtsH1/5)とタイプB(FtsH2/8)のサブユニットから構成されているが,タイプAに反応する抗体(DS9)とタイプBに反応する抗体(VAR2)を用いたウエスタン分析を行ったところ,チラコイド膜上の単量体FtsHはタイプBのみで存在し,二量体と六量体は,タイプAとタイプBの両方から構成されていた。また六量体FtsHは強光や熱ストレスに対して安定であった。これらの結果から,六量体FtsHプロテアーゼは光化学系IIの近傍に存在し,損傷D1タンパク質の速やかな分解に関与していると考えられる。
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Research Products
(4 results)