2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06541
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土岐 和多瑠 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共種分化 / カミキリムシ / 線虫 / Monochamus / Bursaphelenchus / 針葉樹 / 広葉樹 / 便乗 |
Research Abstract |
日本及び台湾において、Monochamus属カミキリのサンプリングと、カミキリ成虫よりBursaphelenchus属線虫の分離・アイソレイトの確立を試みた。その結果、カミキリの遺伝子サンプルは新たに3種10個体群について集めることができた。線虫については、2種8個体群のカミキリより分離され、4アイソレイトの確立に成功した。カミキリについて、C01、16S、28S遺伝子領域の、線虫について、C01、28S遺伝子領域のシーケンシングを行った。分子系統解析を行い、得られた分子系統樹に基づいてカミキリと線虫の共種分化の有無について統計学的推定を行った。その結果、カミキリと線虫の間で共種分化が有意に起きていたことが推定された。また、Monochamus属カミキリ-Bursaphelenchus属線虫共生系において、針葉樹依存の共生系は広葉樹依存の共生系より派生し、針葉樹依存の系統内での進化的イベントを経て形成されたことが推定された。カミキリに便乗する広葉樹依存のBursaphelenchus属線虫は、Monochamus属だけでなく同族の他属からも見いだされている。そのため、Monochamus属に近縁な属も含めた共種分化解析を行う必要がある。また、Bursaphelenchus属線虫は昆虫嗜好性かつ糸状菌食性の線虫である。そのため、線虫と線虫の餌資源である糸状菌との間にも共種分化が起こっている可能性がある。今後はMonochamus属に近縁な属のカミキリ、それらから分離されたBursaphelenchus属線虫、この系に関係する糸状菌の系統関係も解明していく予定である。尚、カミキリの分子系統に関して、現在論文投稿中である。
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Research Products
(3 results)