2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06541
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土岐 和多瑠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 共種分化 / カミキリムシ / 線虫 / Monochamus / Bursaphelenchus / 針葉樹 / 広葉樹 / 便乗 |
Research Abstract |
台湾各地にてヒゲナガカミキリ族カミキリ9属16種76個体を採集し、これらの体内より Bursaphelenchus属線虫を分離した。広葉樹依存のヒゲナガカミキリ属からBursaphelenchus属線虫を分離することはできなかったものの、4種のヒゲナガカミキリ族カミキリよりBursaphelenchus属線虫が得られ、マッノマダラカミキリ由来のBursaphelenchus属線虫のアイソレイトの確立に成功した。カミキリについて、CO1、16S、28S領域のシーケンシングを行い、日本産ヒゲナガカミキリ族カミキリと合わせて分子系統解析を行った。その結果、ビロウドカミキリ属、ゴマダラカミキリ属、ヒゲナガカミキリ属の単系統性がそれぞれ支持されなかった。ヒゲナガカミキリ属は、一つの針葉樹食性の系統と、二つの広葉樹食性の系統とにわかれた。広葉樹食性の系統は、一方はXenohammus属に遺伝的に近縁であったが、もう一方の系統と近縁なグループは不明であった。昨年度までの研究により、ヒゲナガカミキリ族カミキリ-Bursaphelenchus属線虫共生系において、針葉樹依存の共生系は広葉樹依存の共生系より派生し、針葉樹依存の系統内での進化的イベントを経て形成されたことが推定されたが、その結果を覆すものではなかった。Bursaphelenchus属線虫が見いだされる広葉樹食性ヒゲナガカミキリ族は多系統であることが示唆されたが、Bursaphelenchus属線虫が見出だされなかった種類について、より多くの個体を用いて分離を試みるか、あるいはカミキリ成虫に対して線虫の乗り移り実験を行うことにより線虫との共生関係の有無について調べる必要があると考えられる。また、日本産ヒゲナガカミキリ族の分子系統とその食性進化についての論文を発表した。
|
Research Products
(5 results)