2008 Fiscal Year Annual Research Report
通信波長帯パルス光による量子エンタングルメントの生成と量子通信への応用
Project/Area Number |
08J06553
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
衞藤 雄二郎 Kyoritsu Women's University, 理学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子情報通信 / スクイーズド光 / エンタングルメント / 通信波長帯 / パルス光 / 量子テレポーテーション |
Research Abstract |
量子通信の実用化に向け、通信波長帯パルス光エンタングルメントを用いた時間領域でのパルス毎量子テレポーテーションの実現を目標としている。量子テレポーテーションは、量子通信の分野において最も重要な技術の1つである。また、パルス光は、それぞれのパルスに独立に情報を符号化及び復号化できる事から、情報伝送の搬送波として適している。通信波長帯は、光ファイバー中での損失が最小であることから長距離通信に適した波長である。 本年度は、主に2つの実験を行った。まず連続量量子エンタングルメントの安定な生成方法の提案とその実証実験を行った。量子通信を実現する上でエンタングルメントを安定に確実に生成する事は、重要な課題である。量子エンタングルメントは、2つのスクイーズド光を相対位相差π/2で混ぜ合わせる事で生成することができる。相対位相差がπ/2から離れた場合、量子相関の大きさは減少する。本研究では、相対位相差を安定に保ちかつ容易に制御する事が可能なリング型干渉計と分散性媒質による方式を提案し、実験を行った。時間領域のホモダイン検出器を使用し生成された量子エンタングルメントを検出し、本方式がエンタングルメント状態を安定に生成できる事を確認した。 第2の実験として、事後変位操作によるパルス毎連続変数量子テレポーテーション実験を行った。通常の量子テレポーテーションの手続きでは、エンタングルメントの片割れに対し、位相空間変位操作を行わなければならない。本実験では、エンタングルメントの片割れをホモダイン検出器で直接検出した後に、位相空間変位操作に相当するデータ処理を行った。これにより、生成されたエンタングルメントがどの位の忠実度で入力状態を転送できるのかを実験的に知ることができる。実験結果は、本実験で使用されたエンタングルメントが古典限界を破る事が可能である、という事を示した。
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