2009 Fiscal Year Annual Research Report
通信波長帯パルス光による量子エンタングルメントの生成と量子通信への応用
Project/Area Number |
08J06553
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
衞藤 雄二郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子情報通信 / 共振器量子電磁力学 / 核スピン / Faraday回転 / 共振器トラップ / 共振器冷却 |
Research Abstract |
本研究の目的は、量子通信の実現である。昨年度まで、通信波長帯のパルス光を用いて、光の直行位相振幅エンタングルメントを生成し、それらの光を用いて量子通信の実験的な検証を行ってきた。光は、情報伝送の媒体に最適であるが、強い相互作用が得にくいという欠点を有する。今年度は、共振器量子電磁力学(CQED)の実験的研究を行ってきた。CQED系は、強い光場と原子間の相互作用を得る事が可能であるという利点を有する。故に、強い相互作用を得る事が困難であるという光子系の弱点を補う事ができる。 本年度は171Yb原子の^1S_0-^3P_1遷移によるCQED系を用いた実験的研究を行ってきた。171Yb原子の基底状態は、核スピン1/2のみを持つ。核スピンの磁気モーメントは、電子スピンのそれに比べ3桁程度小さいという特徴を持つため、長いコヒーレンス時間を有するQubitの候補として期待されている。研究目的は、CQED系の特徴である光子と原子との強い相互作用を利用し、単一のYb原子を制御・観察するという事である。具体的には、(1)単一核スピンQbitに対するFaraday回転相互作用の実現、(2)単一Yb原子の共振器モード内での捕獲及び冷却、(3)単一Yb原子の核スピントモグラフィーを実験的に実現した。
|