2008 Fiscal Year Annual Research Report
言語内的・外的アプローチによる方言形成論の構築に関する研究
Project/Area Number |
08J06557
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤村 美幸 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 方言形成 / 地域差 / 意味変化 / 位相差 / 社会的要因 |
Research Abstract |
本年度は、方言形成について、言語内的側面と言語外的側面の両面から具体的な事例を中心とした研究活動を行い、次年度の全体的・理論的検討のための準備とした。 1.言語外的側面についての研究:既に実施された全国調査である『消滅の危機に瀕する全国方言語彙資料』の方言データを整理し、地域独自の社会・文化的背景が、方言の形成において影響を及ぼした可能性の高い「葬式」と「焼畑」の方言分布データを作成し、言語外的要因との関連についての分析を行った。その結果、これらの方言分布には、社会的・文化的要因が深く関わっていることが明らかになった。このうち、「葬式」は既に『日本語の研究』に論文化して公表し、「焼畑」は、日本語学会2009年度春季大会において発表の予定である。 2.言語内的側面についての研究:特に意味変化の問題を取り上げ、「スガリ」(<蜂>・<蟻>)という語を事例とした研究を行った。その結果、この語の意味変化には、地域差や位相差が深く関連していることが明らかになった。これらの結果は論文化し、学術雑誌(『東北文化研究室紀要』・『国語学研究』)で公表した。さらに、感動詞という品詞の方言形成に着目し、国語学研究会で研究成果を発表した。 3.全国通信調査:言語内的・言語外的側面と方言形成との関係を明らかにするための通信調査の準備をしている。この調査は全国2000の市町村を対象として実施する予定である。現在調査対象とする市町村の選定を終え、調査票を作成中である。
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Research Products
(4 results)