2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 貴文 The University of Tokyo, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クラスター / 遷移金属 / 典型金属 / 機能モデル / 錯体化学 / 有機金属化学 / テルル / カルコゲン |
Research Abstract |
カルコゲンで架橋されたクラスターは様々な生体内酵素の活性部位に観測され、特異な反応性を示すことが知られている。そのモデルとして、硫黄やセレンを含むクラスターに関する研究が盛んに行なわれているが、更に高周期のテルルでは非常に限られている。硫黄やセレンとは性質の大きく異なるテルルが、錯体の反応性を変化させることが期待される。これまでの研究で、(C_5Me_5)Ir(CO)(TeTol)_2(1)を前駆体とした段階的なテルリドクラスターの合成法を開発した。 1、前駆体となりうるテルロラート錯体の合成 LiTeArやArTeTeArを用いて新規なテルロラート架橋錯体を合成した。ところで、異種金属テルロラート架橋錯体は合成例が限られている。そこで、1を前駆体として異種金属テルロラート架橋錯体を数多く合成した(錯体化学討論会で発表)。 2、新規テルリドクラスターの合成 1のRhアナログを合成し、0価10族金属錯体との反応性と、合成されたクラスターの安定性の差異を見出した(一部ICOMCで発表)。 3、カルコゲン元素間の比較 1のS、Seアナログを合成し、0価10族金属との反応性の違いを明らかにした(ICOMCで発表)。 4、テルリド錯体の反応性 種々の有機小分子とテルリド錯体との反応を検討したところ、IrPtテルリドテルロラート架橋二核錯体はプロピオール酸類と加熱条件下で反応した。現在、単離を試みている。 一連のテルリド錯体の反応性を検討していた際に、IrPd2テルリド架橋三核クラスターを加熱するとクラスターが分解・自己集積化して、ボール型の新規テルリドクラスターが生成した。中心に14個のPdが六方最密充填構造をとっており、その周りを{Te(PdPPh_3)}_<12>の膜が覆っていた。現在、このクラスターの合理的合成法を検討している。これは平成21年度の予定に記した、巨大クラスター合成の足がかりになる。
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