2009 Fiscal Year Annual Research Report
広域を対象とした地すべりの発生と降水量に関する地理情報学的研究
Project/Area Number |
08J06594
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
齋藤 仁 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 斜面崩壊 / 雨量強度 / 降水継続時間 / I-D基準線 / I_<MAP>-D基準線 / 土壌雨量指数 / 短時間強雨 / 長時間少雨 |
Research Abstract |
研究目的を遂行するために、平成21年度に行った研究内容と研究実績は、以下のようにまとめられる。 1.日本列島における斜面崩壊の発生と雨量強度-降水継続時間の関係(Saito et al, 2010, Geomorphology, in press) 日本列島を対象に、斜面崩壊が発生した降水イベントの平均雨量強度(mm/h)-降水継続時間(h)(以下、「I-D」)を解析し、斜面崩壊が発生する閾値となるI-D基準線を算出した。対象としたのは、2006~2008年に全国で発生した1,174件の斜面崩壊災害(降水に起因)である。結果、以下のI-D基準線、およびI_<MAP>-D基準線が得られた。 I=2.18×D^<-0.26>, I_<MAP>=0.0007×D^<-0.21> (3<D<537h) これらの基準線を世界各地での同様な先行研究と比較したところ、我々が求めた日本のI-D(I_<MAP>-D)基準線は世界の中でも特に低いことが明らかになった。本研究は、日本における斜面崩壊の発生と降水量(I-D)との関係を、グローバルな視点から定量的に明らかにした。 2.斜面崩壊の発生と降水イベントの関係-土壌雨量指数を用いて-(Saito et al, 2010, SOLA : Scientific Online Letters on the Atmosphere;齋藤ほか、2009、地理情報システム学会講演論文集) 前述のデータを用いて、日本列島において斜面崩壊が発生する降水イベントの特徴を、定量的に明らかにした。ここではI-Dに加えて、気象庁が開発した土壌雨量指数(SWI)の時系列変化に注目した。これまでの気象庁の研究により、SWIは土砂災害の発生と高い相関関係にあることが示されている。 結果、斜面崩壊が発生する降水イベントは、短時間強雨(SH)型と長時間少雨(LL)型の2タイプに定量的に分類できた。この特徴は、斜面崩壊の発生予測に有用であると考える。そこで、解析で用いたデータ(2006~2008年)よりも後の、2009年の土砂災害事例を用いて検証を行った。その結果、SH型、LL型共に、正しく分類・予測可能であった。つまり本研究により、2種類の降水イベント(SH、LL型)が斜面崩壊の発生に重要であることが実証的に示され、これは土砂災害対策に応用可能であると言える。
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Research Products
(19 results)