2008 Fiscal Year Annual Research Report
東京湾における海草メタ個体群の長期空間動態およびその維持機構の解明
Project/Area Number |
08J06598
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡辺 健太郎 Chiba University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アマモ / メタ個体群 / リモートセンシング / GIS / 物理環境 / 種子分散 / 時空間動態 / 海草藻場 |
Research Abstract |
東京湾内でメタ個体群を形成する複数のアマモ場の時空間動態とその変動要因を解明し、さらにアマモ場からの種子分散過程を明らかにすることを目的に次の課題に取り組んだ。 1.1989〜2005年の湾内10ヶ所のアマモ場の時空間動態を、航空写真を用いたリモートセンシング/GISにより解明した。その結果、面積の変動傾向は各アマモ場で異なっており、地理的距離が近いアマモ場間であっても変動に同調性は見られなかった。次にGISにより地形および風を考慮した波あたりをアマモ場ごとに算出し、水質とともにアマモ場の面積変動との関係を調べた。その結果複数のアマモ場において、近くの港湾工事の影響で波あたりが弱くなると、アマモ場が急激に拡大していることがわかった。また東京湾最大のアマモ場がある富津干潟では、波あたりの強さとアマモ場の面積との間に負の相関がみられた。これらのことから、東京湾のアマモ場に対しては広域の環境要因よりも波あたりいう局所的な要因が強く作用していることが示唆された。 2.アマモの種子は、花株に付いたまま海面を移動分散することから、(1)東京湾の海水流動モデルをもとにしたシミュレーションモデル、(2)花株を模した漂流ハガキを用いた野外実験をおこない、その分散過程の解明を試みた。その結果、アマモの分散にはその時の天候状況、なかでも風の影響を強く受けていることが示唆され、またその分散範囲は遠く相模湾まで達している可能性があることがわかった。現在、モデルおよび実験の改良をすすめているところである。
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