2009 Fiscal Year Annual Research Report
紀元前1千年紀の中央ユーラシアを中心としたポールトップの比較研究
Project/Area Number |
08J06608
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川畑 隼人 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中央ユーラシア / 騎馬遊牧民 / 青銅器 / 鈴 / 弓形器 / 殷代 / 西周 / カラスク文化 |
Research Abstract |
中央ユーラシアにおけるポールトップの研究を進める過程で、用途不明遺物として一括りにされているポールトップの多様性が明らかになった。そこで、様々なポールトップの中でも鈴を有する資料に着目し、検討を進めている。これは、青銅で鈴を鋳造するという技術が、鋳造技術史の中で一つの画期として捉えることができ、起源や影響関係などを分析しやすいためである。現在は、ポールトップに分析資料を限定せず、同時期や先行する時期に属する青銅鈴の資料収集を続けており、青銅鈴の成立とその伝播、出土状況をふまえた社会的意味から楽器とポールトップの検討を試みている。 2009年度は、紀元前1000年前後に青銅鈴を持つ資料として、弓形器を分析対象として研究を進めた。弓形器は特徴的な形態をしており、類似した製品や図像が中央ユーラシアの草原地帯各地で発見されている。弓形器を研究するにあたり、ミヌシンスク盆地を訪れ、この地で発見されている弓形器類似品を実見した。資料観察と先行研究の検討をふまえ、「出土状況からみた弓形器の用途論検証」という論文をまとめ、『早稲田大学文学研究科紀要』第55輯に投稿し、査読審査を経て掲載された。弓形器はこれまで多様な用途が提案されてきたが、いずれも論拠が薄弱であり、安易に受け入れるべきではないことを指摘している。また、墓域内で副葬品が卓越した墓や車馬坑から弓形器が出土する傾向があり、鈴と社会的階層との関連性が高いことが明らかとなっている。同論文の内容を公開し、批評して頂くために、草原考古研究会にて口頭発表を行なった。
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Research Products
(7 results)