2009 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊性有孔虫殻Nd同位体比:水塊トレーサー指標としての評価と古海洋解析への実用化
Project/Area Number |
08J06613
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀川 恵司 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古海洋 / ネオジム同位体 / 有孔虫 / ベーリング海 |
Research Abstract |
本年度は浮遊性有孔虫殻Nd同位体の追加実験や初年度にまとめた論文の改訂作業に取り組んだ.有孔虫殻のNd同位体に関しては,初年度に引き続き今年度もクリーニング手法の検討を行った.その結果,試薬等によって有孔虫殻を化学的にクリーニングしても,鉄マンガン水酸化物が殻表面に数%残留するだけで,得られるNd同位体比が鉄マンガン水酸化物に由来する底層水Nd同位体比の値に大きく影響を受ける事が分かった.この事は,堆積物中で続成作用を被むり,鉄マンガン水酸化物の相対量が増加する有孔虫試料では,表層水Nd同位体比シグナルを得ることが困難であることを示唆する.なぜなら,有孔虫殻表面から鉄マンガン水酸化物を完全に除去することが困難であるからである.従来の研究(Vance et al., 2004)では,浮遊性有孔虫殻が表層水のNd同位体比を記録していると報告されたが,これまで行ってきた検証実験では,浮遊性有孔虫殻から表層水Nd同位体比を復元するのは技術的に難しいと結論づけられる.最終年度は,さらに検証実験を加え,浮遊性有孔虫殻Nd同位体比が表層水塊トレーサーとなりうるかの評価を行う予定である.また,本年度は表層水塊中で生成されるバライトにも注目し,バライト粒子中のNd同位体の測定を開始した.バライト粒子のNd同位体比は,理論的には有孔虫殻Nd同位体比と同様,表層水のNd同位体組成を保持していると考えられている.
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Research Products
(5 results)