2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06641
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 教道 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞基質間接着 / LC-MS / MS / Par3 |
Research Abstract |
遊走細胞は高度に極性化した状態の細胞であり、進行方向に対し前後軸を形成する。細胞前方部ではPIP3などのシグナル伝達因子の濃縮や、接着装置のturnoverが認められる。この様に細胞は時間空間的にシグナルを制御することで効率よく細胞遊走を行う。しかし、細胞遊走の詳細な分子機構については未だ不明である。Par3は細胞極性に重要な役割を果たしていることが知られている。最近、Par3が細胞遊走に関与していることが報告されたが、その詳細な分子メカニズムは未だ不明な点が多い。本研究では網羅的プロテオミック解析によりPar3の遊走細胞における機能を解明することを試みた。 平成21年度において、我々はPar3とFAK、PI3-kinaseとの結合様式、結合の意義について詳細に解析した。細胞基質間接着、非接着時におけるPar3とFAK、p110(PI3-kinaseの触媒サブユニット)との結合を免疫沈降法により調べたところ、細胞基質間接着時にFAK、p110の共沈が認められた。このことから、Par3-FAK、-p110複合体は細胞基質間接着時依存的に形成されることが示唆された。また、細胞遊走におけるPar3とFAK、p110との結合の意義を調べるため、Boyden-chamber assayを行った。Par3のFAK結合領域であるPar3-PDZ2、-4N2を過剰発現させた細胞はcontrolに比べ細胞遊走が抑制された。一方、Par3のp110結合領域であるPar3-4N1を発現させた細胞はcontrolに比べ細胞遊走が促進された。これらの結果からPar3とFAK、p110との結合が細胞遊走に関与していることが示唆された。 本研究によりPar3の細胞遊走における機能の一端が明らかとなった。今後、個体レベルでの解析を行うことでPar3による細胞遊走の制御と疾患との関連性が明らかとなることが期待される。
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Research Products
(3 results)