2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性表面の磁気構造・磁気異方性の電場および磁場による制御に向けて
Project/Area Number |
08J06647
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻川 雅人 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 磁気異方性 / 表面界面磁性 / 電気磁気効果 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本年度は電場印加による磁気異方性の変調効果について重点的に研究を行った。次世代の磁気記録メディアの開発に向けて、磁場によらない新しい磁化反転技術の開発が重要となっている。電場による磁気異方性の制御は、電場を用いた磁化反転の可能性を与えるものとして重要である。本研究では、第一原理計算を用いて磁気異方性エネルギーの電場依存性の見積もりを行い、電子状態から磁気異方性エネルギーが変化するメカニズムの解明を行った。 まずは、孤立した鉄鎖の系において電場印加による磁気異方性エネルギーの変化を調べ、磁気異方性の電場効果を調べる上で現在の計算手法が有効であることを確かめた。次に、鉄白金薄膜について電場による保磁力制御の実験が報告されていることから、鉄白金表面磁気異方性の電場効果について計算を行った。鉄白金合金は強い垂直磁気異方性を持つことからスピントロニクスデバイスの材料としても注目を集めている。白金基板上の鉄単層を白金単層でキャップした系と白金キャップ層を取り除いた系に対してそれぞれ磁気異方性エネルギーの電場依存性を求めた。どちらの系においても、表面内向きの電場印加により磁気異方性エネルギーが減少するという結果が得られた。この傾向は鉄白金薄膜に対する実験と一致している。このように、大きな垂直磁気異方性を持つ系に対する磁気異方性の電場効果を第一原理計算から調べたのは本研究が最初である。スピン密度や局所状態密度を求め、電場による電子状態の変化を調べた結果、電場印加により鉄の3d軌道間で電子の詰め替えが起こることがわかった。また、この3d軌道間の電子の詰め替えが磁気異方性エネルギーの変化する原因となり得る事を、バンド分散から確かめることができた。
|
Research Products
(8 results)