2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性表面の磁気構造・磁気異方性の電場および磁場による制御に向けて
Project/Area Number |
08J06647
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻川 雅人 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気異方性 / 表面界面磁性 / 電気磁気効果 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本年度は電場印加による磁気異方性エネルギー(MAE)変調効果への誘電体の影響について研究を推進した。磁気異方性の電場効果についてはデバイス応用へ向けて、誘電体と強磁性体との界面を持つ薄膜において実験が進められており、誘電体の影響を現実的な理論計算から明らかにすることは重要である。Pt/Fe/Pt(001)薄膜をMgOで被覆したMgO/Pt/Fe/Pt(001)薄膜について計算を行い、Pt/Fe/Pt(001)薄膜と比較することで誘電体の磁気異方性電場効果への影響を調べた。 MAEの電場依存性は、両薄膜ともMAEは電場に対して線形に変化し、金属表面内向きの電場に対して減少するという結果が得られた。MgOの誘電率に比例して電場に対するMAEの変化の割合が増大するという結果が得られ、誘電体膜の比誘電率に比例して電場下におけるMAE変化の増大を実現できることが示唆される。 これまでの計算は電場による原子緩和の影響を取り入れていない。電場の強さに依存してO原子とMg原子で異なる原子緩和が期待され、原子緩和の影響を取り入れることが重要である。原子緩和の影響を考慮した場合でもMAEは電場に対して線形に変化した。計算から得られた電場に対するMAE変化の割合は、Au/FeCo/MgO/Fe/AuのTMR接合における実験で得られている値と比較して非常に大きな値となっている。実験と異なっている原因を探るため、基板や磁性層の違いによる影響やFe/MgO界面における原子緩和の影響について計算を進めている。
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Research Products
(9 results)