2008 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノロッドの凝集状態変化を利用する近赤外散乱分光分析法の開発
Project/Area Number |
08J06659
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
本夛 加菜子 Kinki University, 産業技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金ナノロッド / 局在プラズモン共鳴現象 / 近赤外光 / 光散乱 / 検査キット / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
これまでの研究では金ナノロッドの凝集状態を吸光光度計で記録していた。この方法は簡便ではあるが,吸収スペクトルを測定するという特性の為に,金ナノロッドのごく一部の分散状態が変化してもそれを検出できないという問題点がある。この点を解決する為に,本研究では金ナノロッド溶液の散乱スペクトルを用いて金ナノロッドの凝集状態変化を評価する。現在利用している金ナノロッドはサイズが小さいため光散乱効率が著しく低い。しかしながら,金ナノロッドが凝集体を形成すると光散乱効率が大きく増加する。散乱光によって観察すれば,金ナノロッドの凝集体形成を高感度に検出することが可能である。このためには対象物質と結合することによって小規模な凝集体(沈殿を形成しない程度の凝集体)が生成するように,ナノロッドの表面状態を制御する必要がある。 まず初めに,ガラス基板をアニオン性ポリマーで修飾することで,金ナノロッドを均質な分散状態で固定化することに成功した。この基板では,抗原抗体反応によりプラズモン吸収は大きなスペクトルシフトを示し,前立腺ガンの検査プローブとして重要な前立腺特異抗原を4ng/mLレベルで検出することができた。現在,次の段階として基板表面の電荷や金ナノロッドの表面状態がナノ粒子の2次元凝集状態にどのような影響を与えるか研究を進めている。また,溶液状態の金ナノロッドにおいて,イオン強度等の因子を調整して,凝集-再分散サイクルを可能にすることができた。これもナノ粒子利用の実用化において研究の展開が期待される。
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Research Products
(11 results)