2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染及び二本鎖RNAによるIFN-βの発現制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
08J06663
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 朋彦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | IFN / Apoptosis / MAP kinase |
Research Abstract |
本研究ではまず、ASKの活性制御機構を解明する為に、ウイルス感染、細胞内dsRNAによるp38/JNK経路の活性化に注目し解析を行った。すると、ウイルス感染、細胞内dsRNAによるp38/JNK経路の活性化においてはRIG-I like helicase(RLH)経路であるRIG-I/MDA5及びIPS-1が必要である事を見いだした。また、ウイルス感染やdsRNA刺激によって、ASK1はIPS-1と複合体を形成し、活性化に重要な部位のリン酸化が誘導されることも分かった。以上の結果から、ウイルス感染、細胞内dsRNAによるASK1の活性化はRLH経路の下流でおこる可能性が示唆された。 更にASK1を介したIFN-β産生経路が抗ウイルス応答に寄与するかを検討するため、国立感染症研究所の加藤篤先生との共同研究によりGFPをコードするセンダイウイルス:GFP-SeVの感染を行った。すると、ASK1ノックアウト細胞においては、野性型に比ベウイルスの劇的な増加が観察された。 この結果より、ASK1が抗ウイルス生体防御機構において必須の分子である事が示唆された。ASK1は様々なストレス下で細胞死を誘導することが知られている。そこで、dsRNA刺激によって誘導される細胞死においてASK1、ASK2の必要性を検討した。すると、dsRNA刺激による細胞死にもASK1が必要であることがまずわかった。ASK1は、ホモオリゴマーあるいはASK1類似分子ASK2とのヘテロオリゴマーとして機能する。そこでこれらの複合体の機能を調べた所、非常に面白い事に、dsRNA刺激の下流でASK2はIFN産生の誘導には必要ないが細胞死の誘導には必要である事が示された。このことは、ASK2の有無によって、同じASK1を介した二つの防御機構を使い分けている可能性を示唆しており興味深い。現在、この防御機構の使い分けが生体においても起こっているかを検討するため、東京大学の一條秀憲先生から御供与頂いたASK1とASK2のノックアウトマウスを用いた感染実験を、東京大学の谷口維紹先生との共同研究により行っている。
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Research Products
(3 results)