2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸イメージングによる海馬シナプスの放出特性の決定
Project/Area Number |
08J06678
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 寛和 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス / グルタミン酸 / イメージング |
Research Abstract |
脳機能の基盤であるシナプス伝達機構を解明することは現在の神経科学における重要な課題である。一つの神経細胞には数個から数万個のシナプスが形成されており、複雑な情報処理がなされている。しかしながら、従来の測定技術では、膨大な数のあるシナプスの内、どこのシナプスがどれだけの情報処理を行っているのかを調べることができなかった。そこで申請者は個々のシナプスがもつ機能および情報量を詳細に解析するために単一シナプスレベルのグルタミン酸イメージング技術の開発し、神経伝達物質放出機構の解析を行った。申請者は昨年度までの研究によって、単一シナプスレベルのグルタミン酸イメージングを行うための蛍光顕微鏡測定システムを構築し、初代海馬培養神経細胞の活動電位に伴う神経伝達物質の放出をモニタリングする技術を開発している。今年度の研究では、単一シナプスの機能特性を詳細に評価するために、神経伝達物質の放出確率を変動させてグルタミン酸イメージングを行った。従来の知見によれば、単一シナプスは神経回路における最小の情報処理装置であり、放出確率を変動させても一度に放出し得る神経伝達物質の量は変わらないと考えられる。しかしながら、実際に単一シナプスレベルでグルタミン酸の放出量を解析してみると、興味深いことに、神経伝達物質の放出確率の変動に伴ってグルタミン酸の放出量も増加及び減少することが明らかとなった。これらの結果は単一シナプスが複数のシナプス小胞開口装置を持っていることを示している。さらに、シナプスは0か1の2進的な情報処理方式で伝達を行っているのではなく、状況に合わせてダイナミックに情報伝達量を変動させ得ることを示唆している。申請者はこれらの研究成果を日本生理学会及び日本神経科学学会にて発表した。
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Research Products
(2 results)