2009 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン/IGFシグナル伝達経路を介するワムシ寿命制御機構に関する研究
Project/Area Number |
08J06702
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 依 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シオミズツボワムシ / インスリン / IGFシグナル伝達 / 寿命制御 |
Research Abstract |
種々の給餌条件で飼育したワムシの抽出液につき、インスリン様成長因子(IGF)-1の標的細胞であるラットL6筋芽細胞のインスリン様シグナル伝達分子への影響を調べた。L6細胞に各種ワムシ抽出液を添加し、10および40分後に細胞を回収し、リン酸化シグナル伝達分子の特異抗体を用いてイムノブロットを行った。その結果、種々のワムシ抽出液を加えて10分処理したL6細胞でMAPキナーゼ経路のキナーゼERKのリン酸化量が増大した。また、PI3-キナーゼ経路のキナーゼAktの基質である60kDa成分のリン酸化量も増加し、その増大量は、絶食させたワムシの抽出液より、給餌および絶食後に再給餌したワムシの抽出液を添加した際に高かった。一方、40分後にはいずれのワムシ抽出液においてもAkt基質48kDa成分のリン酸化量の増大がみられた。したがって、ワムシ抽出液中にはインスリン様因子が含まれ、当該因子の分泌は給餌により促進されることが示唆された。 また、ワムシESTデータベースを他生物種の種々のインスリン/IGFシグナル伝達分子のアミノ酸配列をプローブにin silicoスクリーニングし、インスリン/IGF、インスリン/IGF受容体およびAktと相同性を示すクローンを抽出した。 インスリン/IGFおよびインスリン/IGF受容体につき得られた配列からプライマーを設計し、RACE法によりの全長cDNAをクローニングした。また、インスリン/IGFに対する特異抗体を作製して免疫染色を行い、頭部、足の付け根および携卵に局在する事を明らかにした。以上の成果は、ワムシの寿命制御に関与すると考えられるインスリン/IGFシグナル伝達経路の基礎的な知見を提供するもので、個体群変動機構を解明する一助となることが期待される。
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Research Products
(1 results)