2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 直也 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒトES細胞 / ヒトiPS細胞 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植の発達に伴い、白血病を含む今まで難性であった血液疾患に対する治療が格段に進歩してきた。しかし、従来の骨髄移植は慢性的なドナー不足により、主要組織抗原(HLA)非適合での移植が余儀なくされる事も多く生着不全やGVHDの増加の原因となっている。ヒトES細胞は未分化状態で無制限に増殖可能であり有力な造血幹細胞移植のソースとなり得る。さらに近年ヒト誘導型多能性幹細胞(iPS細胞)が樹立されたことで、自己またはHLAの一致したドナー由来の体細胞から、拒絶を受けない造血幹細胞を誘導できる可能性が示された。造血幹細胞である事を実験的に証明するには、致死量の放射線照射し、骨髄を破壊したマウスにドナー細胞を移植することで長期にわたり各血球系が再構築される事を示さなければならない。そこで申請者は、ヒトES細胞から造血幹細胞を誘導する遺伝子群を同定するため、複数の候補遺伝子群をレトロウイルスベクターを用いて同時に強制発現させ、ヒトES細胞からの造血幹細胞誘導を目指した。 昨年度までに、NOGマウスを用いて、少数(10^4個前後)の臍帯血由来CD34陽性細胞が生着できる系を確立できた。この条件下で、ヒトES細胞由来の造血前駆細胞を移植したが、生着は確認できなかった。平行してレトロウイルスを用いて、数種類の遺伝子をヒトES細胞由来造血前駆細胞に導入する系の開発を試み、複数の遺伝子を同時に導入する系を確立した。文献学的考察を基に約30種類まで、候補遺伝子を導入するレトロウイルスの作成まで終了している。さらにヒト皮膚細胞に4遺伝子(Oct3/4、Sox2、K1f4、c-Myc)または3遺伝子(c-Myc以外)を導入し、ヒトiPS細胞を作成し、ヒトES細胞と同様の系を用いて、多系統の血球細胞へと分化可能な血液前駆細胞の誘導にも成功した(未発表データ)。今後拒絶の受けない造血幹細胞誘導を目指して、ヒトiPS細胞由来の造血幹細胞誘導も目指していく予定である。
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Research Products
(9 results)