2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 直也 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒトES / ヒトiPS細胞 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
申請者は臍帯血CD34陽性細胞を用いて、ヒト造血細胞移植の系を確立した。最もヒト血液細胞の生着の良いNOGマウスを用いて、少数(10^4個前後)の臍帯血由来CD34陽性細胞を移植すると、最大で90%以上のキメリズムが得られる系が確立できた。この条件下で、まず遺伝子操作を行わないヒトES細胞由来の造血前駆細胞10e6前後を移植したが、末梢血及び骨髄内での明らかな生着は確認できなかった。次に造血幹細胞の自己複製を規定する遺伝子群を同定するため、文献学的考察から得られた約30種類の候補遺伝子群をレトロウイルスベクターを用いて同時に強制発現させ、NOGマウス体内でのin vivo screeningを行った。しかし、トータル8回の施行を行ったが、マウス体内での造血幹細胞誘導には至らなかった。 一方申請者は様々な細胞ソースからiPS細胞を誘導する技術を確立し、異なるソース間のiPS細胞の血液細胞への分化能力を比較したところ、造血幹・前駆細胞由来iPS細胞は明らかに血液細胞への分化指向性を有していることを見出した。iPS細胞由来造血前駆細胞を用いて血球コロニーアッセイを行ったところ、増殖・多分化性の高い混合コロニーやBurst Erythroidコロニーを得られる頻度は、皮膚由来iPS細胞と比較し、数十倍高かった。分化指向性の原因として、造血幹・前駆細胞由来iPS細胞は血液細胞の遺伝子発現、メチル化状態など一部の記憶を残している可能性が示唆された。そこで現在はDNAメチル化アレイ、ヒストンメチル化アレイ、及び発現アレイを組み合わせることで、分化指向性を誘導している原因を解析中である。さらに造血幹・前駆細胞由来iPS細胞は造血幹細胞の記憶を残している可能性を検証するため、血液細胞へ分化誘導後にNOGマウスへの移植実験を行っている。
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Research Products
(12 results)