2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06726
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 寛文 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アモルファス |
Research Abstract |
申請書における研究題目である「アモルファス酸化物強磁性体の創製」を目指し、研究を遂行した。申請書において述べた、酸素欠損にトラップされた不対電子を介して磁性イオン間に強磁性的相互作用が実現するというモデル、つまり、束縛磁気ポーラロンモデルに基づいた物質設計指針によるアモルファス酸化物強磁性体の実現の可能性を検討した。今回はアモルファス酸化チタンPLD薄膜における磁気的性質を調べた。パルスレーザー堆積(PLD)法により、酸素欠損が比較的生成されやすいと考えられる低酸素分圧(P(O2)=10-2〜10-4Pa)の条件下で、シリカガラス基板上にアモルファス酸化チタン薄膜を成膜した。X線回折測定および透過型電子顕微鏡観察の結果から、10nm以下の微結晶が観察されたが大部分が非晶質相で形成されていることがわかった。Ti-K端nにおけるX線吸収微細構造および光吸収スペクトル測定により、酸素分圧の低下に伴い、Ti3価の割合が上昇していることが明らかになった。超伝導量子干渉計により室温における薄膜の体積当たりの磁化の温度依存性を測定したところ、いずれの酸素分圧下で成膜しか薄膜も室温で強磁性的挙動を示すことがわかった。しかし、磁化は酸素分圧について系統的な変化が見られなかった。これについては、この系の磁化がレーザー密度などの様々な成膜条件に敏感なためであると考えられる。最適な成膜条件を見つけて、磁化の酸素分圧あるいは膜厚依存性などを統計的に評価し、束縛磁気ポーラロンモデルとの対応を考えていくことが、今後の課題である。
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