2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活環境中の化学物質が胎児脳と出生後の発達に及ぼす影響について
Project/Area Number |
08J06761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 恵太 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発達 / コホート / 魚摂取 / メチル水銀 / PCB / 周産期曝露 / コホート |
Research Abstract |
環境中のPCBやメチル水銀などの化学物質が母胎を介して胎児脳に作用し、出生後の発達に影響を及ぼすことが懸念されている。本研究では、これら環境由来の化学物質の周産期曝露による子どもの発達、特に心理、行動、認知面における発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的として前向きコホート研究を実施している。 本年度におけるコホート調査は、生後66ヶ月時の追跡調査が終了し、生後84ヶ月時における追跡調査が実施された。生後84ヶ月時の追跡調査では、子どもの発達を多角的に評価することを意図して、知的機能(WISC-III)、言語機能(Boston Naming Test)、神経生理学的指標(Auditory Brainstem Evoked Potentials、Event Related Potentials)、生理学的指標(身体測定、血圧)などを実施している。 統計解析においては、生後3日目に実施された神経行動学的検査である新生児行動評価(NBAS)と、胎児期メチル水銀曝露指標および魚摂取量との関連について、新たに全例での分析が終了した臍帯血総PCBを加えた検討を行った。その結果、毛髪総水銀と運動クラスターとの間に負の関連が認められた一方で、総魚摂取量と運動クラスターとの間に正の関連が認められた。臍帯血PCBの影響については本研究では不明確であった。以上から、胎児期メチル水銀曝露により新生児の神経行動学的側面に悪影響があることが示唆された。一方で、それら曝露源である魚摂取と運動クラスターとの間に正の関連が認められたことは、不飽和脂肪酸などの発達に有益な栄養素の効果と推測された。これら結果は、魚摂取の持つリスクとベネフィットを表すものと思われた。
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Research Products
(2 results)