2009 Fiscal Year Annual Research Report
7族元素を用いるC-H結合活性化を基盤とする有機合成反応の開発
Project/Area Number |
08J06785
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仁科 勇太 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | C-H結合活性化 / レニウム / マンガン / アルケン / アルカン / 直接変換 / 触媒 / 極性分子 |
Research Abstract |
単純な有機化合物から複雑な化合物を合成するには、数段階にわたる炭素-炭素結合(C-C結合)形成と官能基変換を組み合わせることになるため、効率の高い合成反応の開発が望まれている。有機ハロゲン化合物を用いる反応では、あらかじめ基質分子内にハロゲン原子(X)の導入が必要であり、反応後にそのハロゲンが不要な塩として副生する。これに対し、有機化合物中に多く存在する炭素-水素結合(C-H結合)から直接にC-C結合が形成できれば、C-H結合を一旦、C-X結合などに変換する必要がなく、反応ステップ数も減るとともに、当然ながら反応のあとにハロゲン塩が副生しない。C-H結合活性化反応の適用限界を拡げることは、有機合成において、重要なことである。 本研究では、有機合成の触媒として使われることが少なかった7族元素の触媒作用を明らかにし、新しいコンセプトに基づいて反応開発を行なった。その結果、C-H結合活性化反応の適用範囲を拡げ、実用的で一般的な合成手法へと展開することができた。具体的には、これまではベンゼン環上のC-H結合活性化が大部分を占めていたが、本研究ではそれをアルケンのC-H結合活性化へと展開した。C-H結合へ挿入する分子も極性をもたないアルキンからアルデヒドのような分極したものまで、幅広い基質で適用できる反応条件を見いだすことができた。さらに現在は、より一般的な基質であるアルカンのC-H結合を直接変換する反応の開発を行なっている。従来、有機合成の原料として認識されていなかった炭化水素を用いた効率的な反応につながる可能性を秘めている。
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Research Products
(3 results)