2008 Fiscal Year Annual Research Report
法制官僚・井上毅を中心にみる明治期の立法および法制度
Project/Area Number |
08J06802
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天野 嘉子 Keio University, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 近代日本法制史 / 日本史 / 近代日本政治史 |
Research Abstract |
第301回日本近代法制史研究会において、「井上毅における参事院構想--明治十四年以降、大日本帝国憲法に至るまで--」と題した研究報告を行った。第222回梧陰文庫研究会、第39回内務省研究会、近世近代交流研究会、第21回日本近代法史研究会においても同様の報告を行い、これまで先行業績の少ない分野であった明治期の参事院についての研究内容を発表した。報告の成果として、(1)参事院章程とフランスの憲法条文を比較する、(2)設立後の参事院の活動を詳細に研究した先行業績がいまだ存在しないので、この点を検討する、具体的には、(1)「県令と県会との権限争議の裁定」につき、裁定の内容にどのような法制史的意義を見出せるか考察する、(2)元老院会議における参事院議官の活動を明らかにし、政府立案の趣旨が実際の判決形成にどのような影響を与えているか検討を行う、という課題が明らかとなり、研究の実施を行っている。また、上述の研究成果及び課題の検討を反映させたものとして、「大日本帝国憲法第四十条とJ.S.ミル『代議制統治論』」、「井上毅文書にみる参事院構想の変容」という2つの論文を発表した。本論文により、明治初期〜中期の日本において、立法作業に際し、予め参事院のような機関に集合する「法制官僚」がきわめて詳細な草案を作成しており、法の生成及び運用については初期の段階より官僚主導型であり、議会に主導権のなかったことが明らかとなった。その他、法務省において、法務図書館所蔵の刑事判決原本、地方検察局訓令集等を、デジタルカメラを利用して整理・保存するという作業に従事した(2008年8月〜9月)。さらに、アウトリーチ活動として、同図書館主催の「赤れんが祭り」(2008年10月5日開催)において、一般参加者を対象に、明治期の建築史及び都市計画についてのガイダンス・質疑を行うという活動に従事した。
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Research Products
(3 results)