2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物糖転移酵素の構造と機能の解析およびその有用物質生産への応用
Project/Area Number |
08J06838
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
政田 さやか Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物二次代謝 / 糖転移酵素 / 配糖体 / ホモロジーモデリング / 部位特異的変異導入 |
Research Abstract |
本研究では、植物由来の糖転移酵素の中でも、低分子化合物配糖体の構造多様性に大きく寄与していると考えられる、配糖体の糖鎖にさらに糖を付加して糖鎖を伸長する酵素(糖鎖伸長酵素、sugar-sugar glycosyltransferase)の酵素化学的ならびに構造化学的機能を解明し、天然・非天然の様々な有用配糖体生産に繋げることを目的としている。 本年度は、ニチニチソウ培養細胞由来の糖鎖伸長酵素CaUGT3の酵素タンパク質について、低分子化合物の基本骨格に一つ目の糖を転移する酵素(配糖化酵素)で、ブドウ由来のVvGT1の結晶構造に基づき、ホモロジーモデリングによる立体構造予測を行った。両酵素の立体構造の比較により、糖鎖伸長酵素に特徴的な大きな基質ポケットを形成するアミノ酸残基(His125,Asn206)を発見した。これらのアミノ酸残基を配糖化酵素由来のアミノ酸に置換した変異酵素を作製し、酵素活性を調べた結果、変異酵素の活性は急激に減少したことから、これらのアミノ酸残基の重要性を示すことができた。さらに、変異酵素のホモロジーモデルを構築し、基質との水素結合の様子を調べた結果、これらのアミノ酸残基が基質ポケットの形成のみならず、アクセプター基質の配置の安定化にも寄与している可能性を示した。 以上の知見を基に、配糖化酵素に糖鎖伸長活性を付加したり、糖鎖伸長酵素を配糖化酵素に変えたりすることによって、今後、新たな糖転移活性を持つ酵素タンパク質を利用した有用配糖体生産が可能になると期待される。
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Research Products
(4 results)