2009 Fiscal Year Annual Research Report
立体特異的水和反応を利用した新しいバイオポリエステルの合成
Project/Area Number |
08J06848
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高分子合成 / 環境材料 / 酵素反応 / バイオポリマー |
Research Abstract |
本研究では、環境にやさしいプラスチック材料として注目されているポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の構造制御可能な合成法の確立および新しいモノマー成分から成るPHAの合成について検討を行った。PHA合成におけるモノマーを合成する酵素R-ヒドラターゼに注目し、本酵素を利用して試験管内および微生物細胞内で新しいPHAの合成系を構築、それらを利用して合成されるPHAの1次構造制御および新しいモノマー成分の導入を試み、得られたポリマーの物性評価を行う。 第2年度目の研究では、前年度新たに構築した組み換え微生物を利用し、組換え微生物による構造制御可能なPHA合成法の確立を試みた。これまで用いていたモノマー前駆体である飽和脂肪酸の場合、微生物代謝の一部を利用してPHAが合成されていると推測されたことから、本年度では飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸へと変更し、微生物細胞内の代謝に依存しないPHA合成経路を構築した。この合成系を利用して、天然型の微生物では合成の難しい単一組成から成る中鎖PHAの合成を試みた。その結果、細胞内に蓄積されたPHAの含有率は、飽和脂肪酸の場合と比較して乾燥菌体重量あたり最大27%まで上昇することが分かった。その組成は、炭素数6および7の炭素源からは同じ炭素骨格から成る3-ヒドロキシアルカン酸モノマーを100mol%含むPHAが、炭素数8-10の炭素源からは同様のモノマーを99mol%以上含むPHAが合成できることを新たに見出した。また、これらの炭素源を同時に利用することで任意の組成から成る中鎖PHA合成に応用できることが示唆された。
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Research Products
(2 results)